新たなる出発
スタートはゼロ(zero)
ゼロのイメージとは何か。空白、皆無、深夜、去年今年(大晦日)、・・・こういう言葉を聴いた事はないだろうか、「無は有を生じ、有は無を生ず」、空虚なイメージとは裏腹に、万物を生じせしめる大いなる「力」を内包しているのが「ゼロ(zero)」だと考えます。 まさに試作部品を手懸ける当社に相応しい命名と言えます。 当社の開発理念が「形無きを創る」、 もうひとつ「声無きを聴く」という言葉がありますが、試作部品の開発は、斯の如きで、材料の「声無きを聴き」、要望に対しては「形無きを創る」で、まさにゼロからの発想で応える仕事なのです。

 昭和15年わが国で一機の戦闘機が誕生しました。「零式艦上戦闘機」、通称「ゼロ戦」です。アジアの弱小国と見られていたわが国がたとえ一時でも太平洋の制空権を制することができた飛行機の誕生でした。当時としては、珍しい超々ジュラルミンの採用、空気抵抗を減らす沈頭鋲の開発、引き込み式主脚の採用、軽量化のための肉抜き構造、航続距離の増大に効果を発揮した落下式燃料タンク、しかし、何といっても「ゼロ戦」の凄さは、通常胴体に別装着していた両翼を一体成型しその上に胴体部を載せるという奇想天外な発想でした。終戦後わが国の国産旅客機「YS-11]が誕生の陰に「ゼロ戦」の技術があったことは言うまでもありません。而して、「無から有を生じ」「形無きを創る」という当社の基本理念を「ZEROクリエイト」という新社名に込め、新世紀への出発とします。
代表取締役 浅野 みつ子